UAV搭載型グリーンレーザースキャナー

UAV搭載型グリーンレーザースキャナ|プレビュー

「水際で地形データが途切れる」を、ワンフライトで埋める

浅い水域は、陸上測量にも船舶測量にも属さない「調査の空白域」になりがちです。UAV測量やドローン写真測量は水面で反射して水底が写らず、マルチビーム測深は喫水の関係で浅場に船が入れません。結果として、河床変動や堆砂、洗掘、護岸の根入れといった判断材料が、いちばん知りたい水際で欠けたまま残ります。
UAV搭載型グリーンレーザースキャナは、水を透過しやすい波長のレーザーで、陸部と水中部を一度の飛行で連続した三次元点群として取得します。断面と断面のあいだの変状を推定で埋めるのではなく、面的に取得したデータから任意断面を切り出す進め方に変えられます。

水際でデータが分断される

陸上のUAVレーザ測量は水面で止まり、船舶測深は浅場に入れない。両者の継ぎ目に、洗掘や堆積がもっとも起きやすい領域が残ります。

横断測線の間が分からない

200m間隔の定期横断だけでは、測線間の局所洗掘や砂州の移動を捉えきれません。面的データがあれば、測線間の変状も漏れなく確認できます。

人が入れない・入りたくない

出水後の不安定な河道、急流部、港内の航路など、人や船を入れにくい現場を非接触で計測できます。災害後の初期把握にも向きます。

こうした水域・施設でお使いいただけます

河川・ダム・砂防

  • 河道の縦横断・河床変動の把握、定期縦横断測量の補完
  • 砂防堰堤の堆砂量、水叩き部・副堤下流の洗掘状況
  • ダム貯水池の堆砂測量、上流河川部の土砂動態
  • 樋門・水門・床止め・落差工まわりの局所洗掘

海岸・港湾・漁港

  • 海岸侵食・汀線変化のモニタリング、養浜効果の確認
  • 離岸堤・人工リーフ・消波ブロックの沈下・散乱状況
  • 護岸・根固め工の被覆状況、根入れ部の変状
  • 浅場・干潟・藻場の地形把握、マルチビーム測深の浅所補完
水深が確保できる海域は音響測深(マルチビーム)が有利で、逆に水深数十cm〜数mの浅場や汀線際はグリーンレーザーが有利です。実務では両者を役割分担させ、重複域で標高を照合するのが現実的な進め方になります。

UAV搭載型グリーンレーザースキャナ

役割は「陸部と水中部を、同一座標系の連続した三次元点群として一度に取得すること」です。水中構造物の詳細な目視点検を置き換える機材ではなく、地形と施設まわりの形状を広く・面的に押さえるための機材と位置づけてください。

01

波長532nmの緑色レーザーで水を透過する

一般的なUAVレーザ測量が用いる近赤外レーザー(1064nm等)は水面でほぼ反射しますが、緑色レーザー(532nm)は水中を透過しやすく、水面と水底の双方から反射(エコー)を得られます。1パルスの波形を解析することで、水面標高と水底標高を同時に求めます。

  • 陸域と水域を継ぎ目なく計測(ワンフライト)
  • 水面エコーと水底エコーを分離して取得
  • 植生の隙間を抜けたマルチターゲット取得にも対応(機種による)
【画像指示:グリーンレーザーが水面を透過し、水面エコーと水底エコーを取得する原理図。左に送信パルス、右に受信波形(surface echo / bottom echo)を並べた模式図】
02

測深できる深さは「機材性能×水の透明度」で決まる

グリーンレーザーの測深能力は、近赤外レーザーのように「◯mまで計測可能」と断言できる技術ではありません。メーカー公表値は透明度の指標であるセッキ深度(Secchi Depth)の倍数で示されるのが一般的で、実際に届く深さは当日の濁り、水底の反射率、日射・波立ちに左右されます。
そのため計画段階では、事前の透明度確認と、取得率(出来高)が下がる前提での測線計画が重要になります。

  • 透明度が高い日ほど深く届く(濁ると急激に浅くなる)
  • 暗い底質・軟泥・水草帯では反射が弱く欠測しやすい
  • 白波・強い日射の反射は水面エコーを乱す要因になる
【画像指示:セッキ盤による透明度測定の様子、または透明度と測深到達深度の関係を示すグラフ】
03

屈折補正とノイズ処理まで含めて成果になる

水中を通ったレーザーは水面で屈折し、水中では空気中より遅く伝播します。この補正を行わないと水底標高は実際より深く算出されます。また受光感度を高くしている都合上、空中・水中に近赤外レーザーより多くのノイズ点が発生します。
グリーンレーザー計測は「飛ばして終わり」ではなく、水面モデルの作成 → 屈折・伝播速度補正 → ノイズ除去 → 水底点の抽出という後処理の質が最終成果を大きく左右します。

  • 水面モデルに基づく屈折補正・伝播速度補正
  • 水中ノイズ・空中ノイズのフィルタリング
  • 陸部点群との標高整合、重複計測域での照合
【画像指示:屈折補正前後の点群断面比較図。補正前の水底点が深く沈み、補正後に正しい高さへ移動することが分かる図】

機材仕様

UAV搭載型グリーンレーザースキャナ一般の代表的な仕様レンジを示します。実際に使用する機材の確定値は下表の【要確認】欄を差し替えてご覧ください。

項目一般的な仕様・考え方当社使用機材
機材名・型式UAV搭載型グリーンレーザースキャナ【要確認:使用機種名・型番】
搭載UAVペイロード5〜15kg級のマルチコプター【要確認:搭載UAV機体名・最大離陸重量】
レーザー波長532nm(緑色)532nm
レーザークラスクラス3B(安全距離の管理が必要)【要確認:レーザークラス・NOHD】
測深能力セッキ深度の約1.5〜2.5倍(計測レート・後処理条件による)【要確認:公表測深能力(Secchi Depth倍数)】
計測レート数十kHz〜200kHz程度(レートを下げるほど深く届く傾向)【要確認:パルス繰り返しレート】
測距精度数cm級(機種・条件による。水中部は水面補正精度に依存)【要確認:精度・確度の公表値と測定条件】
点密度飛行高度・速度・レートで調整(例:数十〜数百点/m²)【要確認:標準運用時の点密度】
標準飛行高度おおむね50〜100m(測深性能は高度条件付きで公表される)【要確認:標準飛行高度】
標準飛行速度おおむね4〜6m/s(水部重視ではより低速)【要確認:標準飛行速度】
測位GNSS/IMU+後処理(PPK/基準局利用)【要確認:測位方式・使用基準局・位置精度】
同時搭載センサーRGBカメラ(オルソ・点群着色用)【要確認:カメラ画素数・同時取得の可否】
重量スキャナ単体で5〜15kg程度【要確認:機材重量】
連続稼働1バッテリーあたり十数分〜(機体・ペイロードによる)【要確認:1フライトあたり計測時間・1日あたり計測可能面積】
仕様に関するご注意:左列は一般に公表されている技術情報に基づく代表的なレンジであり、特定機種の性能を保証するものではありません。とくに測深能力は水域条件に強く依存するため、カタログ値がそのまま現場で得られるとは限りません。実案件では、対象水域の透明度を踏まえた到達見込みを事前にご説明します。

調査の進め方

1
事前協議

調査目的(変動量把握/堆砂量/設計基礎資料など)、必要な成果精度、既往データの有無を確認します。目的により測線間隔と後処理の深さが変わります。

2
現地条件の確認

透明度、水位、流速、飛行に必要な離着陸場所、上空障害物、周辺の第三者立入りを確認します。透明度は計測適期の判断に直結します。

3
許認可・調整

航空法に基づく飛行許可・承認、河川/港湾/漁港管理者との調整、漁業関係者・航行船舶との調整、レーザー安全管理を行います。

4
計測計画

飛行高度・速度・ラップ率・スキャン設定を決め、標定点/検証点の配置を計画します。水部重視か陸部重視かで設定が変わります。

5
現地計測

GNSS基準局を設置し、計画測線に沿って飛行・計測します。現地で取得状況を確認し、必要に応じて設定変更・再飛行を判断します。

6
後処理・解析

軌跡解析、水面モデル作成、屈折・伝播速度補正、ノイズ除去、地盤/水底点の分類を行い、点群・DEM・断面図を作成します。

7
点検・照査

検証点との較差、重複測線間の較差、既往横断測量との整合を確認し、取得率(欠測範囲)を明示します。

8
納品・報告

成果品と精度管理資料を納品し、欠測箇所と解釈上の留意点を含めてご報告します。必要に応じて追加計測をご提案します。

調査可能な条件・制約

グリーンレーザー計測は万能ではありません。適する条件と適さない条件をあらかじめ共有したうえで、手法の組み合わせをご提案します。

適する対象・条件(できること)

  • 透明度が高く、水深が浅い水域(清澄な河川・貯水池・砂浜海岸など)
  • 陸部と水部にまたがる地形を、同一座標系で一体的に取得したい場合
  • 船舶が入れない浅場・汀線際・急流部・狭い水路
  • 面的な三次元点群から任意断面を切り出したい場合
  • 同一測線での経年比較(変動量・堆砂量の算出)
  • 出水後など、人が近づきにくい状況での早期の地形把握

適用しにくい条件(できないこと)

  • 濁水時・出水直後の高濁度の水域(水底に届かず欠測になる)
  • カタログ上の測深能力を超える水深、暗色・軟泥の底質
  • 白波の立つ水面、水草・アオコ・浮遊物が多い水域
  • 構造物のひび割れ・腐食など、部材レベルの損傷判定
  • オーバーハング部・構造物直下・空洞内部など、上空から見通せない箇所
  • 降雨・強風時、飛行禁止空域や許可が下りない空域
  • 水中の埋設物・金属探査(磁気探査の領域)
濁度が高い水域や深い水域では、マルチビーム測深・ナローマルチビーム、あるいは音響を用いた探査との併用が現実的です。構造物の変状確認が目的であれば、地形把握はグリーンレーザー、部材の状態確認はROV・水中カメラ・潜水士による近接目視、という役割分担をおすすめしています。手法を一つに決め打ちせず、「面で把握してから、疑わしい箇所を近接確認する」流れが、費用と確度のバランスをとりやすい進め方です。

成果品

  • 三次元点群データ(LAS/LAZ。陸部・水部を分類、RGB着色可)
  • グリッドデータ/DEM・DTM(メッシュ間隔はご相談。TIF・CSV等)
  • 横断図・縦断図(任意測線での切り出し。DWG/DXF・PDF)
  • 等高線図・水深段彩図(河床高・水深の可視化)
  • 差分解析図(既往データ・前回計測との標高差、堆積/洗掘量)
  • オルソ画像(同時搭載カメラによる。地形図との重ね合わせ用)
  • 精度管理資料(検証点較差、重複測線較差、取得率・欠測範囲図)
  • 調査報告書(計測条件、現地状況、解釈上の留意点を含む)

座標系・データ形式・メッシュ間隔は、貴社の解析環境(GIS/CAD/河川管理システム)に合わせて調整します。国土交通省の三次元データ関連要領に準拠した形式での納品にも対応します。【要確認:対応可能な納品形式・準拠要領の範囲】

【画像指示:陸部と水部が連続した三次元点群の俯瞰図(水深段彩付き)と、そこから切り出した横断図を並べた成果品サンプル】

安全管理と精度の担保

飛行安全

航空法に基づく許可・承認を取得し、飛行前点検、風速・降雨の中止基準、第三者立入り管理、緊急時の対応手順を定めて実施します。
【要確認:自社の中止基準(風速・降雨・視程)、操縦者の資格・保険】

レーザー安全

測深用グリーンレーザーは可視かつ出力が大きく、機種によってはクラス3Bに区分されます。安全距離(NOHD)を踏まえた飛行高度の設定と、直下への立入り管理を行います。

精度の担保

標定点・検証点による較差確認、重複測線間の整合確認、既往横断測量との照合を行います。水部は水面モデルと屈折補正の質が精度を左右するため、補正条件を報告書に明記します。

欠測の扱い

水底に届かなかった範囲は、内挿で埋めずに欠測範囲として図示します。「取れなかった場所が分かる」ことが、後続の判断では重要になります。

計測適期の選定

出水後の濁りが落ち着いた時期、渇水期、藻類が繁茂する前など、透明度が確保できる時期を選びます。工期に余裕がない場合は、取得率の低下リスクを事前にご説明します。

関係者調整

河川・港湾・漁港の各管理者、漁業関係者、航行船舶、周辺住民への事前周知を行い、施設の運用を止めずに実施できる計画を立てます。

想定される活用事例

以下は代表的な活用パターンを整理したものです。当社の実施実績として掲載する事例は、対象・条件・成果を確認のうえ差し替えます。【要確認:掲載可能な自社実績(対象/課題/手法/現場条件/成果品/得られた判断)】

河川の河床変動把握

  • 対象:河川の一定区間(延長数km)
  • 課題:定期横断測線の間の局所洗掘・砂州移動が把握できない
  • 手法:UAVグリーンレーザーによる面的計測、既往横断との重ね合わせ
  • 成果品:点群、DEM、任意断面、差分解析図
  • 得られた判断:洗掘進行箇所の優先度整理、次期計測の基準データ化

砂防・ダムの堆砂量

  • 対象:砂防堰堤の上流堆砂域、貯水池上流河川部
  • 課題:立入りが難しく、堆砂状況を面的に押さえられない
  • 手法:陸部・水部一体の点群取得、前回計測との差分
  • 成果品:堆砂量算出資料、水叩き部の洗掘状況図
  • 得られた判断:除石計画の検討、施設点検の重点箇所抽出

海岸・離岸堤の形状確認

  • 対象:海岸護岸、離岸堤、人工リーフ、養浜区間
  • 課題:浅場に船が入れず、汀線付近の地形が取得できない
  • 手法:グリーンレーザーで浅場、必要に応じ深部は音響測深で補完
  • 成果品:汀線変化図、堤体の沈下・散乱状況、断面比較
  • 得られた判断:養浜効果の評価、補修・嵩上げの検討材料

よくあるご質問

Q結局、どのくらいの水深まで測れますか。

水の透明度によって変わるため、一律の数値ではお答えできません。メーカーの測深能力はセッキ深度(透明度板が見えなくなる深さ)の倍数で示され、実際の到達深度は当日の濁り、水底の反射率、水面の状態に左右されます。ご相談いただければ、対象水域の透明度データや過去の水質記録をもとに到達見込みをご説明し、必要なら事前の透明度確認をご提案します。

Q濁っている川でも計測できますか。

高濁度では水底までレーザーが届かず、水面標高のみの取得になります。出水直後は濁りが強いため、濁りが落ち着く時期を待って計測するのが基本です。工期の都合で待てない場合は、水部を音響測深、陸部をUAVレーザで取得して合成する方法や、水位が下がる時期に陸部として計測する方法を検討します。

Qマルチビーム測深とはどう使い分けますか。

水深が確保でき、船が安全に入れる水域はマルチビーム測深が有利です(濁りの影響を受けず、深い水深にも対応)。一方、水深が浅く船が入れない汀線際・河川の瀬・浅場はグリーンレーザーが有利です。両者は競合ではなく補完関係にあり、重複域で標高を照合して一体のデータにするのが実務的な進め方です。

Q構造物のひび割れや腐食も分かりますか。

分かりません。グリーンレーザーで得られるのは地形・形状レベルの三次元情報であり、部材の損傷判定には解像度が足りません。護岸の変形・沈下・根入れ部の洗掘といった「形の変化」は捉えられますが、ひび割れ幅や腐食の程度を確認するには、ROV・水中カメラ・潜水士による近接目視が必要です。面的なスクリーニングと近接確認を組み合わせるのが効率的です。

Q公共測量の成果として使えますか。

目的とする成果の種類・地図情報レベルによります。UAVレーザ測量については国土地理院のマニュアル(案)が整備されており、要求精度に応じた精度管理を行うことが前提になります。水部を含む成果の扱いは案件ごとに条件が異なるため、発注仕様書を拝見したうえで対応可否と必要な精度管理方法をご回答します。【要確認:準拠可能な要領・過去の公共測量実績】

Q1日にどのくらいの範囲を計測できますか。

飛行高度・速度・ラップ率、バッテリー交換の頻度、離着陸場所へのアクセスによって大きく変わります。水部を重視して低速・高ラップで飛ぶと、陸部のみのUAVレーザ測量より面積効率は下がります。対象範囲の形状(線状の河川か、面的な海岸か)でも変わるため、範囲図をいただければ工程をお示しします。【要確認:標準的な日進量(延長km/面積ha)】

ご相談時に分かる範囲でお知らせください

すべて揃っていなくても構いません。分かる範囲でお知らせいただければ、不足分の確認方法も含めてご提案します。

調査目的(河床変動/堆砂量/設計基礎資料/災害後の状況把握 など)
対象範囲(位置図・延長・面積、陸部をどこまで含めるか)
想定水深と、水の濁り具合・透明度の目安
水位・流況の条件(潮汐、ダム放流、渇水期の有無)
既往データの有無(横断測量成果、過去の点群、図面)
必要な成果精度・地図情報レベル、準拠する要領
納品形式(座標系、点群/DEM/CAD/GIS の指定)
飛行条件(離着陸可能な場所、上空障害物、空港等周辺かどうか)
許認可・関係者調整の状況(河川・港湾・漁港管理者、漁業関係者)
希望時期・工期、現地までのアクセス

水際で途切れたデータを、つなげませんか

「この水域で本当に測れるのか」というご相談から承ります。透明度や水深の条件を伺い、グリーンレーザーが適するか、他手法との組み合わせが必要かを率直にお答えします。